一日中家で仕事をしていると窓の外が何とも素晴らしい世界に見え、昼すぎには誘いを断りきれずに外にでます。家の近くに商店街に出る遊歩道があってそこをとぼとぼと歩いて昼飯を買いにいくのです。先日も例のごとく商店街へと遊歩道を歩いていると、何かに見られたような、何かを見たような気がするので、ふと脇に目をやると、顔のある葉っぱがこっちを見ています。子どもの遊びでしょうか、谷内六郎の絵を思わせるこの葉っぱたちからなんとなく立ち去る気になれず、しばらく考えごとをしていました。この時期になると、昼間でも夕方のような光が差していて、なんとなく家に帰らなければいけないような子どものころ感覚を思い出します。秋の放課後の学校は不気味でした。私が通っていたころは、かなり昔に建てられた木造の校舎があり、音楽室、家庭科室、理科室がありました。
理科室には人体模型や骸骨、ホルマリン付けの動物の標本などがたくさんしまってありました。夏の日がぴかぴかと照っている時は何ともないのに、秋になるとなんとなく不気味でした。音楽室も、4年から6年生まで金管バンド部にいましたが、たまに練習がなく忘れ物を取りに誰もいない部屋に入ると、秋の夕暮れの光のなかでベートーベンや山田耕筰が私を見ているので、なるべく目を合わせないようにしたものです。私の育った田舎は子どもの娯楽などありませんから、音楽を始めるまでは放課後は学校の遊び場で光る歯と目しか見えなくなるまでよく飽きもせず毎日鬼ごっこをしました。夕方になると落ちかけた日に当たり真っ赤になった校舎の西側の壁にびっしりととまっていた赤とんぼが何を合図にするのかある時一斉に飛び立つのです。そんな小学校時代を秋や冬にはとくに思い出します。冬にはたくさん着込んでおやつを袋いっぱいに蓄えて、家の近くのどんぐり林でどんぐりを集めたり、砦のようなものを作りなにやら作戦を練って夕暮れまでこもたものです。なついた野良猫にえさをやったりもしました。そのためか落葉の匂いをかぐと冬の訪れを感じます。雑木林の匂い。椎木の匂い。東京の銀杏の匂いとは違うのです。
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冬かな
December 18th, 2007 · No Comments
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